読了本

『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二』夢枕獏徳間書店、2004)。
空海よりもずっと前に唐に渡り、玄宗皇帝にも仕えた阿倍仲麻呂。物語の中で重要な役割を担っているらしい彼が遺した書簡の部分を読んでいるときに目にしたニュースに驚いてしまった。こういうのもシンクロニシティっていうのかな。
 ・<遣唐留学生>墓誌を初発見 日中交流史に新たな側面 中国
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041010-00000063-mai-int

『ディー判事 四季屏風殺人事件』R.ファン・フーリック/松平いを子訳(中公文庫、1999)。
ディー判事のシリーズはあちこちの出版社から出ているうえ絶版のも多いので追いかけるのが大変だ。まずは『中国黄金殺人事件』から入るのがいいときくが、とりあえず手に入った順で読んでいる。『四季屏風』は『黄金』のちょっと後の話らしい。激務に疲れて骨休めに来たというのにまたしても事件に首を突っ込んでしまうディー判事。もはや職業病、お伴のチャオ・タイも少々あきれ気味だ。判事が手を尽くしたかいあって奇怪な事件の謎は解けるが、物語はさらにニヒルな展開を迎える。こんな奴のためにほうぼう駆けずり回らされたのか……! と判事が気の毒でならない。それにしてもカタカナの中国名は覚えづらいなあ。漢字にルビのポケミスバージョンのほうが私は好き。