読了本

『詩人たちの旅 デイルマーク王国史 1』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/田村美佐子訳(創元推理文庫、2004)。
芸人一家のショーから始まる出だしは割と牧歌的だったのに、あれよというまに人は殺されるわ縛り首にされるわ、主人公の少年もみそっかすのおちびと思われたのが加速度つきで孤独なヒーローへと変貌をとげるわで、ページを繰る手が止まらずひといきに読んでしまった。初期作品なせいか、今まで読んできた脂ののったジョーンズ作品にみられたような“らしさ”は薄いのだが、原点なのだと感じさせるものは確かにある。気の強い少女ブリッドとか。全体的に会話がいきいきしていて良い。ただ、いま誰の視点で話が進行してるのかが時々混乱するところと、翻訳の語尾が「……だった」「……した」ばかりで変化に乏しいところは気になった。四部作ということなので続きが楽しみだ。モリル以外も再登場するかな? ところで表紙の少年ってたぶんモリルなんだと思うけど、アムロみたいね。ガンダムの。
伊坂幸太郎グラスホッパー』(角川書店、2004)は3人目の殺し屋が出てくるあたりまで読んだが、どうにも話にのれずお別れする。伊坂作品初挑戦だったのだが選択を誤ったか。