読了本

ケルトの白馬 ねこのばば しゃばけシリーズ3
ケルトの白馬』ローズマリー・サトクリフ/灰島かり訳(ほるぷ出版、2000)。
原題“Sun Horse,Moon Horse”。今もイギリスの丘に残る古代の巨大な地上絵からイメージを起こして生み出された物語である。表紙にもなっている白馬の写真を観ただけでは「言われてみれば馬かなあ」くらいの印象なのだが、読み進むうちに躍動感と流線美をあわせ持つ神の馬と見えてくるから不思議だ。なんたってイケニ族の長ルブラン・デュの魂がこもっているのだもの。訳者あとがきは作品解説としてもいい出来だと思う。

『ねこのばば』畠中恵(新潮社、2004)。
しゃばけ』『ぬしさまへ』と続くモノノケ捕物帖、第3弾。あやかしたちが可愛いくて好きなシリーズだ。まあ、ネタが割れたり先が読めてしまう部分も多少はあるけれど、文章のうまさと独特の雰囲気にカバーされてあまり気にならない。とはいうものの「産土」にはちょっと驚かされた。うーん、やられたわ。畠中さんは故・都筑道夫に師事したそうで、文章のリズムや匂いから何となく都筑さんの影響がうかがわれるかなと感じた。