飛脚の鈴の音

NHK「新選組!」第38回「ある隊士の切腹」。
また切腹か、と誰もが思ったことだろう。
河合耆三郎役の大倉孝二さんは味のある顔をされているので、今回の切腹劇は山南さんの時などと比べると、もとより喜劇的な要素を含んでいる。助命を嘆願する隊士たちの行動もどこかギャグじみているし(サノたちのオチは『ほぼ日』でもきっと話題にされるだろうな、ていうか今サイトみたら「ほぼ日テレビガイド男子部修学旅行!with 山南総長」って何だ。ずるいぞ! 京都&山南で羨ましさの二乗だぞ)、「飛脚は?」の繰り返しも却って笑いを誘ったりする。
いつのまにやら場の空気はうっすら諦めと無力感に覆われている。「なんで切腹させなきゃいけないのか」って状況、何度目よ? 土方も詰めが甘いんだよ、ホントに助けたければ念には念を入れて手をうっておけっての! このほろ苦い哀しみをまとわせた笑いは新選組に対する皮肉へとじわじわ変化していくのだが、三谷さんのスタンスって面白いよなあ。流れが自然と伊東甲子太郎の今後への布石にもなってるんだもん。土方たちに先が読めてないのに、伊東にはそれができてる。でも観てる方向は同じだ。さらにその先があることにも気づいていないのだろう。
にしても「金が届いたのは夢だった」のには酷くショックを受けた。思わず叫んでしまったほどだ。哀れすぎる。河合も河合の親御さんも無念だったろう。……と、なんだかんだモンクを言いながら食い入るように観てしまった回だった。