読了本

真珠の首飾り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
真珠の首飾り』ロバート・ファン・ヒューリック著/和爾桃子訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2001)。
息抜きにやってきたはずの町で殺人が起こり、またしてもディー判事は事件に巻き込まれる。というより職業的な使命感から進んで飛び込んでいっちゃうのだけど。巧妙な伏線と謎解きの奇抜さで相変わらず読ませる。武侠小説顔負けのアクションシーンにも度肝をぬかれたが、さんざん辣腕をふるったあとでケロッと日常に戻っていくディー判事が好きだ。お疲れ様とねぎらってあげたい。

『ワイド版 風雲児たち 8〜10』みなもと太郎リイド社SPコミックス、2003)。
田沼意次・意知親子が志半ばに没落し、光大夫の船が漂流のすえロシアに到着する。私の乏しい読書経験の中では田沼親子とその政策をここまで評価した物語は他になかった。三冬の実父として登場する『剣客商売』よりもずっといい役なのだ。中学高校の歴史の時間では田沼=ワイロという図式くらいしか習わなかったし、印旛沼の開拓なども「何のために」やったのかは説明されなかっただけに(試験用の詰め込み授業だったからな〜)悪人のイメージがやたら強かったけど、目ウロコ。もうね、松平定信が恨めしいよ。