読了本

『観月の宴』ロバート・ファン・ヒューリック著/和爾桃子訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2003)。
薄いのと訳がいいのとでさくさく読める。これは『紅楼の悪夢』の後の話になるが、調子の良い羅(ルオ)がこれほどまでに有能だとは思わなんだ。かたぶつの狄(ディー)判事とはなかなかいいコンビ。風雅とどぎつさ、怪異と理性が同居するなんとも特異な雰囲気は慣れてしまえば癖になる面白さだ。いかにも中国、という感じがする。金庸武侠小説などではこのくらい当たり前だしね。そろそろ時系列順にシリーズを読んでいこうかと思っている。

『冗談新選組みなもと太郎イースト・プレス、2003)。
NHK大河「新選組!」ファンにとっても楽しい本。みなもと太郎×三谷幸喜の徹底対談を読んで、ドラマが京都編に入る前、多摩編にたっぷり時間を割いたのは『風雲児たち』などにおけるみなもとさんの手法が頭にあったのかなと思った。浪士たちが“日本一ドスのきいた”赤穂の播州弁をしゃべる「仁義なき忠臣蔵」も面白かった。巧いギャグストーリーは重厚なだけの話に勝るという好例。