眩しいサングラス

いま使っている眼鏡は10年くらい前に作ったものだ。
愛着はある。しかしレンズは傷だらけだしフレームはゆがんでいるしツルのネジを失くしてしまって木綿糸で綴っているような状態だ(店員さんに笑われた)。で、ようやく重い腰をあげて新調することにした。店に行ってしばらく展示品を眺めていたが、よく分からないので適当なのを見繕ってもらう。今風も少しは取り入れたいし。
視力のチェックをするために奥で検査を受けていると、私よりずっと前にサングラスを作りにきたお爺さんと女性店員がマンザイ、もといズレまくった会話を交わし続けているのが聞こえてくる。
「こちらのレンズがブラウンで、こちらがライトブラウンです」
「どう違うの? あんまり変わらないみたいだけどねえ」
「こっちは……えーと……まぶしい茶色なんです!」
「へぇー! まぶしかったらサングラス必要ないよねえ」
思わず噴き出すと、検査をしてくれている店員さん(おそらく上司)が笑いをこらえながら「すみません、ボキャブラリーが乏しい娘で」。
なんか贔屓にしたくなるお店だ。