読了本

『百器徒然袋 風 探偵小説』京極夏彦講談社ノベルズ、2004)。
探偵・榎木津の活躍がメインのシリーズ第二作。語り手の本島は言ってみれば「欝でない関口」というところか。雲外鏡の巻の“鏡の向こう側とこちら側が一時的に渾然として……”のくだりなど、関口ならばきっとそのまま向こう側へ行ってしまっただろうが、本島は“……馬鹿馬鹿しい”とたちまち我に返る。そこらへんが決定的に違うせいか、殺伐とした事件が起こっても物語は淡々とした味わいを変えない。待古庵などが出てくるとますますその感が強くなる。好きだなあマチコ。癒し系なのです。

犬張子の謎 御宿かわせみ22』平岩弓枝(文春文庫、1998)。
小文吾プチ失恋の巻「柿の木の下」。早くいいお嫁さんがくるといいね。「蓮の花」の謎である女房とはオトコ女房のことではないか、と終わり近くまで疑っていたのは我ながらナニかに毒されているなあと嘆息したことであったよ。