読了本・コミックス

『いつか夢の中で』遠藤淑子白泉社文庫、2004)。
通販マニアの姫君と所帯じみた魔法使いのラブコメ「ぐーたら姫シリーズ」プラス読み切り5編。デビュー作「慶長スラップスティック」が面白いなあ〜。真田広之角川映画にインスパイアされたものだろうか? こういうヘンな話、けっこう好き。カッパが当たり前のように出てきて子どもと遊ぶ「なつやすみ」も好き。とくにラストがいい。

『紅匂ふ 1』大和和紀講談社コミックスビーラブ、2004)。
大和和紀の新作。大和作品を読むのは久しぶりだが読み応えがあってとっても面白かった。戦後すぐの京都祇園を舞台に、ひとりの少女の生い立ちから舞妓になるまでを丹念に描いていく。原案は岩崎峰子『芸妓峰子の花いくさ』で、実在の人物がモデルなだけに細かいところまで描写が行き届いている。私は舞妓と芸妓の区別さえ知らなかったよ。圧巻だったのが終盤の“錦鯉の生け捕り”事件。何かといえば押入れにもぐりこんでしまう女の子がよくこんな啖呵を切れるまでになったもんだ。

『蕗のお便り 1』菅原雅雪講談社ワイドKCモーニング、2004)。
シリアスな『暁星記』とは好対照の軽いノリが楽しい4コマ。しっかり者で口うるさいフキの精コルコニは男の子、茫洋として要領のよいフキノトウの精マカヨは女の子。双子なのかお豆の半分なのか、いつも一緒で一心同体なふたりは美味しい人間の食べもの「お米」を探して今日も冒険の旅に出かけるのであった。って今は人間の家に居ついて冬ごもり中だけど。ちゃんと神サマの国に帰れるのだろーか。