読了本

『王室スキャンダル騒動』遠藤淑子白泉社文庫、2002)。
エヴァンジェリン姫シリーズの既刊3冊ぶんが1巻にまとまっている。遅れてきた読者にはたいへん親切で便利な1冊だ。田舎の貧乏小国の王女エヴァンジェリン、これがマリネラパタリロ殿下を女にしたような常識やぶりの豆台風娘で、周囲は巻き込まれてかなり大変な思いをさせられる。ただ国民は皆もう慣れているので迷惑をこうむるのはおもに他国の人という……。軽快なギャグと爽やかな感動、なるほど遠藤節とはこういうのかとしみじみ納得した私であった。先にパタリロを引き合いに出したけどああいったナンセンスさはさほどなく、佐々木倫子の「ペパミント・スパイ」みたいな力の抜けた感じが実に好み。