読了本

『ファミリーアワー』遠藤淑子白泉社ジェッツコミックス)。
最新巻の家族コメディ。絶妙の間が笑いを誘う。描き下ろしショートやカバー折り返しのテレビ欄パロが傑作だ。「もう遊びはいい」に吹き出してしまった。実はシリアスな部分もかなり大きいのだが、くどさがないのは絵柄と作風のなせるわざか。ときどき出てくるいい台詞やエピソードなどもワザとらしかったり説教くさかったりはしないのでスッと心に入ってくる。いいマンガを読んだなあという気分を満喫できた。どの家族の話も良かったがクラッシャーお嬢さま・せいらの話がインパクトあったなあ。脳内で自動的に島本須美で吹替えしてしまうが……。

『レディー・ヴィクトリアン 13』もとなおこ(秋田書店プリンセスコミックス)。
かしこいラルゴがポーリーを守ってどこまでもお伴していったのがツボだった。アージェントが牧師の語る童話の“魂”をつかむラストも感動的だ。しかし新刊が出るそばから1冊ずつ読んでるとあっという間に最終ページまで辿り着いてしまう。ガマンして少しためとこうかしら。

ヨコハマ買い出し紀行 11』芦奈野ひとし講談社アフタヌーンKC)。
アルファに対しては確かに丸子さんのような意地悪を言いたくなる時もある。テンション落ちてたりストレス溜まってたりするとね。でもアルファのタメぐち反論にはそういうモヤモヤを吹き飛ばしてくれるホットな辛さがあって小気味よかった。次にふたりが会ったとき、わだかまりもなくいい感じだったのが嬉しい。

『墨戯王べいふつ』佐々木泉小学館ビッグコミックス)。『沈夫人の料理人』が個人的にヒットだったので同系統らしいこの作品も買ってみた。
傍若無人な書画マニアのむさ苦しいオッサン、その正体は皇帝の覚えもめでたき(?)書画学博士の米ふつ(ふつの字は草冠に市)。題材こそ史実に基づくためにお堅くて地味ではあるが(私は好き)、かなり面白く仕上がっていると思う。風流な青年皇帝と米ふつの息子・米友仁の交流も楽しいし、東坡のユーレイにも笑った。薄墨で書いた「宇宙」や足跡を取り入れた壁画などなど、作中で披露される書画も見ものだ。牛の絵には思わず吹き出した。特に字が見とれるほど上手いのだけど、作者本人の手になるものなのだろうか(追記:そうらしい)。ちなみに米ふつの書はgoogleのイメージ検索をかけるといくつか出てくる。のびのびと自由な筆運びが楽しい。さらにあんなオッサンが書いたんだと思うと親近感も湧いてくるのだった。
作者のサイト「MOOR」
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5932/
workの項を見ると単行本未収録が1話ある。……なんでそんなことをするんだ小学館