読了本

『チャリング・クロス街84番地』ヘレーン・ハンフ編著/江藤淳訳(中公文庫、1984)。
現代作家のベストセラーや新刊書が大嫌いと公言し古典しか本と認めない読書家のアメリカ人女性と、ロマンスグレーとおぼしきイギリス人古書店員の間でかわされた往復書簡。押しが強く口やかましい客(普通郵便にお金は同封するし)を優雅にさばきつつ、次第に打ち解け親しくなっていく渋い英国紳士が素敵だ。
『佐助の牡丹 御宿かわせみ28』平岩弓枝(文春文庫、2004)。
文庫化されるの早いなあ。しっかりとしていながら心優しい御落胤の少年と若君がかわいい「三日月紋の印籠」が好き。
『鬼女の花摘み 御宿かわせみ平岩弓枝文藝春秋、2002)。
東吾が半死半生だと誤解し、心配するあまりはるばる姫路まで駆けつけた「かわせみ」の面々にちょっと泣けた「白鷺城の月」。骨惜しみせず人のために働くけど万事おっとりとして出世欲もない東吾をはじめとするキャラたちののどかさについ忘れがちだが、この物語の舞台って世情もきなくさくなってきた幕末なんだよなあ。少し心配になってしまう。