読了本

『ボートの三人男 犬は勘定に入れません』ジェローム・K・ジェローム丸谷才一訳(中央公論新社)読了。
もともとテムズ河くだりについての教養書的な旅行案内を執筆するつもりだったのが、いつのまにかひねりのきいたユーモア満載の文章になってしまったらしい。くすくす笑ってしまうのは当たり前、盛大にふきだしてしまうことさえあったりするので人前で読むときにはご用心。最高に笑ったのが前にも書いた缶詰と黒猫、それからコミックソングのくだりである。この面白さは同じ中公文庫のカレル・チャペック『園芸家十二ヶ月』に通じるものがあると思う。
ウィリスの『犬は勘定に入れません』で章の頭に要約がついているのはこの本のスタイルを踏襲したようだ。これがまた“高価な芥子 恐ろしいビール”みたいにひとひねりしてあって(どんなエピソードなのか想像がつくだろうか?)可笑しいので、読み飛ばさないよう御注意。ちなみに旅の相棒犬、『犬は〜』のシリルはブルドッグだったがこちらのモンモランシーはフォックステリアの由。シリルと違って喧嘩っぱやいのである。