メリーとピピンの絆について[ネタバレ注意]

王の帰還ネタバレ感想第3弾。
二つの塔」ではオークに仲良くさらわれ、アイゼンガルド攻めでも一緒に戦ったホビットの二人が「王の帰還」では離れ離れになる。何でものぞきたがるバカものトゥックはガンダルフによってミナス・ティリスへと連れて行かれるが、その際の二人の会話には思わずほろりとさせられた。お前吸いすぎだぞ!とか言いながら最後の貴重な長窪葉(ロングボトム。ハリポタのネビルの苗字はきっとここから取ったんだろうな)を餞別に贈るメリー。……メリピピっていいコンビだなあとしみじみ思う。
二人が再び出会うのはペレンノール野の合戦の決着がついた後だ。見張り台から飛蔭が走り去るのを見送ったのが遥か遠い昔に思われるほど色々なことがあった。ピピンは累々たる死骸の中からメリーを発見する。
 Merry: Are You going to leave me?
 Pippin: No, Merry. I'm going to look after you.
ここのところのメリーの台詞は字幕も吹替も「僕は死ぬのかな」という意味合いになっていた。答えるピピンの台詞は「僕が面倒を見るよ」――だから死んだりしないよ、というニュアンスが含まれることになるが、どうなんだろう? メリーの怪我は確かに酷そうなのだけど、最後の合戦の際のメリーはものすごく元気なので、死にそうなんじゃなかったのか?と拍子抜けしてしまう。なにせ真っ先に敵陣へ駆け出して(直後にガンダルフや他の兵士に追い抜かれて)いくくらいだ。王の手は癒しの手のエピソードがSEE入りしてたちどころに全快するのかな?
彼の台詞の訳は普通に「僕を置いていくの」みたいな感じのほうがいいんじゃないかと思う。友が戦っているのに安全圏に残るのは嫌だ、恥だとセオデンに訴えたメリーだから、たとえ命にかかわる怪我でも負傷者として労わられ、結果として置いてきぼりをくらうのは望まなかったに違いない。メリーにとっては死よりも取り残されることのほうが辛いのだ。ロヒアリムの出陣を哀しく見送るしかなかったメリーの姿が目に浮かぶ。あんな思いは二度としたくない……。
ピピンはそういう彼の性格を長いつきあいで知っていたからこそ(二つの塔でエントムートに苛立つ姿も見ているし)即座に「いいや、僕が面倒を見るよ」――だから大丈夫、置いていったりしないよ、また戦に加われるよ、と安心させたんじゃないかと私は考えたのだが、素人考えかもしれない。何はともあれ二人が最後の合戦でまた一緒に並んでいるのを見るとほんとに泣けてくるのである。
まあ、その後の目覚めたフロドに喜んで飛びつく二人にはいつも笑わせられてしまうんだけどね。何だかほっとするのだ、平和な日常が戻ってきたことが実感できて。ベッドにダイブするメリー&ひょっとこ顔でおどけるピピン、何を話しているんだか知らないが君ら「素」だろう、ドムもビリーも実は生まれたときから陽気なホビットだったんだろう、と心の中でつっこみつつ。