読了本

ヤマユリワラシ ―遠野供養絵異聞― (ハヤカワ文庫JA)

ヤマユリワラシ ―遠野供養絵異聞― (ハヤカワ文庫JA)

ヤマユリワラシ 遠野供養絵異聞/澤見彰
岩手県内に残る「供養絵額」というゆかしき風習を題材にした歴史ファンタジー。もうひとつの題材が「百姓一揆」だから、展開はけっこう重たい。死の悲しみを慰めるための絵と、生きるがために苦しむ農民とが壮絶に絡み合うなかに、心やさしい武士が飲み込まれていく。これを読む直前に私も超ひさしぶりに亡き人のイラストを描いたところだったので、ちょっとびっくりしてしまった。遠野が舞台なのだから、そんなことがあっても不思議じゃないね。