読了本

消えたメイドと空家の死体 (創元推理文庫)

消えたメイドと空家の死体 (創元推理文庫)

消えたメイドと空家の死体/エミリー・ブライトウェル著、田辺千幸訳
ヴィクトリア朝ミステリ、シリーズ2作目。面白かった。今回、ウィザースプーン警部補の捜査は的はずれどころか、けっこういいとこ突いてたんじゃない? 運と使用人たちに助けられてではあるが。逆に冴えてるはずのジェフリーズ夫人が(ルティは違うと言ってるにもかかわらず)メアリーは死んだと決めつけるのはちょっと違和感あった。まあ、そうでないと終盤の驚きが演出できないんだけど。ラストのフラグが見え見えすぎて思わずニヤリ。

若旦那の覚悟―札差高田屋繁昌記〈1〉 (時代小説文庫)

若旦那の覚悟―札差高田屋繁昌記〈1〉 (時代小説文庫)

若旦那の覚悟 札差高田屋繁昌記 1
生きる 札差高田屋繁昌記 2/千野隆司
千野さんの新シリーズ。さらっと読めはするが読み応えがないわけではなく、文章がきれいで読後感もよいのが千野作品の特徴。幕臣相手の金貸しという家業に興味のなかった青年がひょんなことから跡取りとなり、最初は頼りないものの少しずつ成長していく姿が面白い。事故で早くに亡くなった、できたお兄さんが行動規範なんだけれども、最初は“まねっこ”の人助けだったのが徐々にしっかり身についていく感じが爽やか。他人に説教されるんじゃなくて、自分で気づき、学び取っていくからねえ。あと上品な恋愛色も千野さんの良さ。今回、淡いながらも対象が兄嫁なんで、どう転がるのか気にはなるのだが……まあ千野さんなら妙なことにはならないだろうという安心感はある。