読了本

葬偽屋は弔わない: 殺生歩武と5つのヴァ二タス

葬偽屋は弔わない: 殺生歩武と5つのヴァ二タス

葬偽屋は弔わない 殺生歩武と5つのヴァ二タス/森晶麿
ノンシリーズ連作ミステリ。葬儀屋ではなく葬“偽”屋……こんな設定よく考えるわ。偽の葬儀を行いたい依頼者をどうやって満足させるか、その話の落としかたが凝ってて楽しめた。なかなか際どい部分もあるし、残されたものの気持ちも丁寧に描かれているのだけど、生臭坊主のとぼけっぷりと美学うんちくのおかげで重たくなりすぎない。ちょこっとロマンス風味をきかせてあるところもいい。面白かったのに、綺麗に終わってるから続きは出なさそうなのだけが残念だ。

おっかなの晩 (船宿若狭屋あやかし話)

おっかなの晩 (船宿若狭屋あやかし話)

おっかなの晩 船宿若狭屋あやかし話/折口真喜子
ほんのり怖くて、すこし不思議なところのある連作集。このタイプの作品は少女漫画だとぽつぽつ良作があるね。シリーズ化してくれたら嬉しいな。「狐憑き」とか「嫉妬」みたいな、まじめにやってるのに芽が出ない人の背中をちょいと押して運をつかませる話がよかった。もちろん本人の努力がなければ実は結ばない。1話目のお涼は年増らしいけどイイ人はいないのかな、とか思ってたら……マジか(笑)。表題作に出てくる“コト八日”は知らなかった。そんな風習があったんだ。