読了本

容疑者 (創元推理文庫)

容疑者 (創元推理文庫)

容疑者/ロバート・クレイス著、高橋恭美子訳
仕事の相棒を殺され、自らも心と体に傷を負った巡査と警察犬が、少しずつ歩み寄り心を通わせながら共に事件の謎を追う。……面白かった! しかし予想はしていたけれど、涙腺直撃でしたわ。メスのジャーマン・シェパードであるマギーの心理描写はシンプルなだけに読者の心をまっすぐに射抜く。時間はかかっても、痛みはいつか癒え、傷は再生されるものだね。スコットの上司のリーランドを筆頭に、警察犬隊はみなバカがつくほどの犬好き揃いでいい味出してた。

寄居虫女 (単行本)

寄居虫女 (単行本)

寄居虫女(ヤドカリオンナ)/櫛木理宇
“あの事件”や“あの事件”を下敷きにしているのだろうが、ややソフトな仕上がり。そういえば表紙も不気味でありながら、どこかメルヘンな雰囲気だったのは「そういう訳」かと後から納得した。それでもとにかく途中までは怖すぎて、ページをめくる手が止まらなかった。被害者と加害者の境界があいまいな結末は焦点がぼやけぎみで少し肩すかしな感じもしたけれど、なんといっても現実の事件がどこまでも胸糞悪すぎるから、それを追体験させられるよりはよかったのかもしれない。