読了本

校閲ガール/宮木あや子
縁の下の力持ちな校閲の世界をポップに書いたお仕事もの。主人公が物怖じしない態度で口の悪さとツッコミの瞬発力を活かしつつアクの強い社員や作家と渡り合うのが面白かった。ファッション至上主義で文芸には一切興味がなくても、好きなものやのめり込めるものがあるというのは強い。一芸に秀でる者は多芸に通ずっていうもんな。かるく日常の謎的ミステリ風味があるのもよかった。『犬っぽいすね』のあれやこれやには思わず吹き出したが、オチはややぬるくないか。てっきり玉砕するもんだと思ってた。

遠野物語拾遺retold/京極夏彦柳田國男
似たテーマごとにまとめると、確かに読みやすいのだろうね。憑いた飯綱を落とす方法とか「一緒にあべあべ」とか、ヒッチコックの『鳥』みたいな話も怖かった。「晦日」の項は動物話、とくに犬の話が固まっててちょっと嬉しかった。ホント、猫は化けるけど犬は化けないんだなー。

マラソン・ウーマン (幻冬舎文庫)

マラソン・ウーマン (幻冬舎文庫)

ラソン・ウーマン/甘糟りり子
フルマラソンに挑戦するまでの来し方を綴った体験エッセイ。今週末マラソン大会(ハーフだけど)に出るのでイメージトレーニングを兼ねてと思ったのだけど、私が目指さない地点をこの人はガンガン目指していくし、この人が好むものは私が苦手とするところばかりだしでほとんど参考にはならなかった。甘糟さんに比べたら私はおっさんだね。走るという点は共通しててもこんなに遠い世界が……と感慨深くすらあった。