読了本

冬空トランス/長沢樹
樋口真由“消失”シリーズ第3弾は短編集。真由と渉の出会い編、2作目の泉沢事件のその後、1作目のバスケ部員失踪事件のその後が描かれる。正直ふたりの仲をここまで進ませるとは思ってなかったので驚いたけど、真由が少しずつ軟化していくのは楽しかった。探偵役が高校生なだけに日常の謎とはいかなくても殺人事件ギリギリくらいが合うと思うので、やっぱり2作目はやや異質な感じ。いずれにせよ性同一性障害というテーマはデリケートに取り扱ってほしいが、今のところ果敢に攻めつつも調子に乗るようなことはなくて好ましい。ヒカルはまだしも主任や警視みたいなのまで出てくるとちょっとリアリティに難があるので、1作目のような学園ミステリ路線に戻ってほしい気もする。