読了本

かたづの!

かたづの!

かたづの!/中島京子
かっちりした時代もののようでいて、ちょっとファンタジックな風味のある時代もの。戦国時代の気風をひきずる東北の地で、女の身ながら領主とならざるをえなかった祢々(のちの清心尼)の戦いと苦悩を、よき友であった一本角のカモシカ(のちの片角様)の語りで描く。戦い、といっても殺し合いは嫌いなおかた様。血気にはやる男たちのせいで気の休まる時もないような日々のなか、動物やら妖怪やらからわずかな慰めを得る姿に魅了された。ていうか河童の逸話がゆるすぎて(笑)。河童煎餅ってホントにあるのね。「ももの木」のエピソードにちょっと泣けた。もも、裏表紙に白蛇(こいつがまた……)といっしょにいるね。