読了本

海うそ

海うそ

海うそ/梨木香歩
昭和のはじめ、自然ゆたかな島を訪れた研究者と素朴な人々との交流。山野を歩いたり歴史を調べたり、なんというか、ファンタジー色のない「となりのトトロ」的な、暴力性のない「もののけ姫」的な雰囲気が心地よかったが、“五十年後”は許嫁のことも含めて少し哀しくさびしかった。でも梨木さんが書きたかったのは過去のユートピアではなくて、いまのこの部分だったんだろうな。

予言村の転校生/堀川アサコ
コミカルタッチとホラーテイストが混ざり合う、ミステリ風味のファンタジー。どこかぼやーんほわーんとした、狐狸に化かされてるような隙のあるゆるさ(ヤンヤンヤーン、レッドヤーン)が堀川作品らしい。とか思ってたら楠見くんのことがまさにその通りになっていたので吹いた。海うそと続けて読んだから、こよみ講がモノミミとリンクして何だかちょっと幻惑感を覚えた。