読了本

帝都東京華族少女 (幻冬舎文庫)

帝都東京華族少女 (幻冬舎文庫)

帝都東京華族少女/永井紗耶子
明治時代を舞台に、おてんば男爵令嬢とクールな書生が殺人事件の謎を追うミステリ。斗輝子と怜司のやりとりがなかなか楽しかったが、終盤がなんだかすっきりしなかった。事件の様相はわかるんだけど、関係者それぞれの立ち位置に納得がいかないというか。もっと凄みが欲しかった気がするな……人の業を見せつけられた若い二人がそこから何を得るか、みたいな……。あと父と山の秘密が明かされなかったのは何故? 続編への布石かな。私が読み落としたのかも。

はぐれ雀

はぐれ雀

はぐれ雀/中嶋隆
江戸時代初期にキリシタンとして生きた女たちのドラマ。朝鮮出兵の際に虜となって日本に連れてこられた幼子が老婆になるまで守り通した「御約束」とは? タヌキ顔の千代はたとえば表紙の女人のような神々しさや美しさとは無縁だし、蔑まれこそすれ誰からも讃えられはしないが、ある意味ジュリアよりも「聖女」に近い存在なのだろう。その愚直さは刺客さえも動かしたのだから。