読了本

天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)

天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)

天の梯 みをつくし料理帖/高田郁
シリーズ10作目にして最終巻。……うわあ、怒涛の勢いで広げた風呂敷が畳まれていったよ。きっちりみごとに畳みすぎじゃないの!?ってくらい。小松菜の根も采女宅の匂いも天満一兆庵も四千両もぜんぶ納まるべきところに納めてったなあ。今回バトル展開はなかったが、試練はいつにもまして多かった。中毒やら冤罪やらハラハラさせられまくりで、1冊の密度がやたら濃かった。終盤の種市との別れ、また身請けのくだりでは思わず泣きそうに……人目のあるとこで読むのはキケン。
過去の辛い恋を糧に、新たな恋心を育んでいく澪。そこは抑えた描写になっている割にやや急展開な印象で、時間をかけてじっくり描いてほしかった気もする。いや、でもねえ、もうちょっと甘いムードになってくれてもよかったのに〜。筋金入りの奥手、それが源斉先生とはいえ、約束だけで式すら挙げずに先に大坂いっちゃうとは! らぶらぶ展開いっさいなしとは! まあそのへんは特別巻でもあんまり期待はできないだろな。おしどり夫婦っぷりが少しでも垣間見られれば御の字っす。
澪がいなくてもつる屋ののれんは盤石、というあたりもしっかり描かれててうれしかった。政吉さんのつくる料理もちゃんと旨そう、酒がすすみそう。ふきも精進せいよ! きっと戯作者の先生がビシバシ鍛えてくれることだろう。オマケの料理番付は凝ってたなぁ、東西の大関も感慨深いが、井川屋は問屋だけでなく料理も出すようになったのかな? 松吉と真帆との子が料理人になったりしたのかな? と想像がふくらんだ。さて、再読しよっと。