読了本

図書室の魔法 上 (創元SF文庫)

図書室の魔法 上 (創元SF文庫)

図書室の魔法 下 (創元SF文庫)

図書室の魔法 下 (創元SF文庫)

図書室の魔法 上・下/ジョー・ウォルトン著、茂木健訳
なんでだろう、さいごに解説を読むまで著者を女性だと思い込んでた。魔法にかかるってこういうことかもしれないよ。主人公のモリは体に障害があり、SFが好きな本の虫で、運が向いて来たり人から親切にされると「自分が使った魔法のせい」と一歩引いてしまうような女の子。いっぽうで母親や伯母たちが危険な魔女だったり、死んだ双子の姉妹の霊やフェアリーが見えたりする。そんな日常が日記につづられていく……。こう書くとなんだか中二病っぽいし実際に15歳なのだが、モリは自己愛やコンプレックスとは無縁だし、小説を愛しながらも空想に逃げているわけではない。魔女やフェアリーは幻覚や思い込みの産物だろうか? そうかもしれないが、モリにとっては真実であり、他者と共有することもできる。ウィムのみならず読者とだって。昨日に引き続き、鍼治療が大きなポイントであることにちょっとびっくり。まさかのシンクロニシティ、これも“魔法”なのかね。なにはともあれ面白かった。しかし海外SFの裾野は広いなあ。モリの批評眼にはうんうんとうなずかされたり、思わずニヤリとさせられたりした。