読了本

避雷針の夏

避雷針の夏

避雷針の夏/櫛木理宇
ホーンテッド・キャンパス』の著者のノンシリーズ長編。この人、閉鎖的な田舎の嫌らしさを書かせたら天下一品だな! 決して娯楽作じゃないけれども面白かった。冒頭の少女たちが誰なのか気づいた時点でラストがこうなることは予想できたが、それまでの過程がねっとりエグくて読ませる。ホーンテッド・キャンパスだとやや浮いて感じる生臭さが、ここでは逆にどぎつい魅力となっている。梅宮の自己中さ、自己弁護、突飛な行動にはまったく共感できないのに、読むのが苦にならない。おまえなー、と思わず乾いた笑いが浮かんでしまう。いや、まあ、ちょっとは辟易したけどね、どいつもこいつもホント嫌なヤツばっかりなんで。

日本橋本石町やさぐれ長屋

日本橋本石町やさぐれ長屋

日本橋本石町やさぐれ長屋/宇江佐真理
弥三郎長屋をもじって「やさぐれ長屋」。でも住人達はやさぐれてないぞ、といいつつも実はやさぐれ寸前だったりするのだが、なんとか踏みとどまっているのは引きとめてくれる誰かがいるおかげ。今回はブラックウエザ降臨なし、なので何だか物足りない(笑)。恐怖刺激って慣れるのよね……でも「みそはぎ」あたりはプチ降臨してたかなー。