読了本

小さな異邦人

小さな異邦人

小さな異邦人/連城三紀彦
去年亡くなられた作者の最後の短編集。恥ずかしながら私は連城作品ほぼ未読なのだが、妹はかつて手当たり次第読破していた(しかも買い与えたのは私。なぜだ)。どんよりと濃密でいながら、かろやかに流れていくストーリー。手の込みように感心してるうちにもやっとした余韻を残して幕は下りる。「蘭が枯れるまで」や「白雨」など、いままで見ていたものが瞬時に逆転する話が印象的だった。最後におさめられた表題作だけちょっと雰囲気が違う。学校の中の方が誘拐しやすいとは言いえて妙だったが、ラストでびっくり。そういうことか!