読了本

関越えの夜: 東海道浮世がたり (文芸書)

関越えの夜: 東海道浮世がたり (文芸書)

関越えの夜 東海道浮世がたり/澤田瞳子
東海道を行き来する人々の姿をバトンをつなぐように描き継ぎながら、徐々に西へと向かっていく連作短編集。予想以上の面白さだった。どの話も粒ぞろい。表紙はほのぼの風でも、中身はどちらかといえばシビアだったりダークだったり切なかったりでハッピーエンドのほうが少ない。決して「ほっこり」してないのに読後感は悪くないのが不思議。作者の立ち位置、キャラとの距離感がよいのだと思う。ラストで最初の話に繋がったのには軽く驚いた。「やらずの雪」「恵比寿のくれた嫁御寮」「竹柱の先」あたりが印象に残っている。ちょっとヒヤリとする感じが何とも……。