読了本

金色機械

金色機械

金色機械/恒川光太郎
時代ものの長編。面白かった! 金色様(イメージがどうしてもC-3POになってしまう……)だけとったらSFなのかもしれないけど、遥香や熊悟朗の能力はホラーっぽいし、全体的に見たら伝奇ファンタジー。さまざまな人間の因果が金色様と繋がっていて、時代が前後するごとに金色様の謎が明らかになっていく。ずっと悲しい存在だったのが、遥香といるときの金色様はどこかユーモラスで、なんだか楽しそうですらあった。冗談を言ったり天井裏から出てきてみたり。初めて自分のやりたいようにやっているから、なのだろうか。遥香の能力は深遠で恐ろしい。現代ものでこの設定を使ったら『常世物語』みたいな感じになるのではと思うが、遥香は子孫を残さなかったのかな。ただこれだけ人があっさり死ぬ話は時代物だからこそ成り立つのであって、現代でやるとちょっと違う雰囲気になってしまうかも。

さわらびの譜 (単行本)

さわらびの譜 (単行本)

さわらびの譜/葉室麟
弓術を仕込まれた娘が主人公の爽やかな青春小説。とはいえ最初の1/4くらい、伊也の行動とは関係なく、または揚げ足を取るように裏で動いてる政治的な何かがはっきりしなくて、ちょっともどかしかったんだけどね。座敷牢中の戦闘シーンはすごかった。〈影矢〉封じはさすがのカッコよさ。しかしあの暗君がすっかり感化されちゃったのにはびっくり。左近の爽やかパワーすごいな! 姉妹と催馬楽を歌うシーンも好きだったが、それがラストに繋がってるのもよかった。