読了本
- 作者: 和田竜
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/10/22
- メディア: 単行本
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面白かった! 戦国ものにおける女なんて、これまではせいぜい武将を彩る刺身のツマかお色気担当がいいとこだったけど、この物語のヒロイン景(きょう)姫はなかなか鮮烈なキャラクターだ。爽やかさと冷徹さが同居する男の世界とはすこし違ったところに景はいる。最初は、醜女だ悍婦だと言われつつも戦いと色男に目がないやや「アホの子」だったのが、失意や挫折を味わうごとに脱皮をくりかえし強さと深みを増したいい女になっていく。抜け殻のような手弱女ぶりからの覚醒シーンには思わず震えた。景のみにスポットライトがあたるのではなく、村上水軍とその敵たちの動向をあまさず描く群像劇なのでやたら分厚いが、一気に読ませてしまう勢いがある。史実と創作とが混然一体となって『のぼうの城』のときのような大スペクタクル大ぼら吹きが展開されるのが楽しい。めまぐるしく戦況が変わり「まだなんかあるのか!」とそのたび驚かされた下巻の戦闘シーンが圧巻だった。