読了本
- 作者: 澤田瞳子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2013/09/06
- メディア: 文庫
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激動の奈良時代に生きた若者たちの姿をみずみずしく描いた歴史もの。面白かった! これでデビュー作とはすごいね。表紙イラストはおとなしめだが中身はかなりドラマティックだ。最初のほう、大学寮で学ぶ斐麻呂たちの青春グラフィティがとても楽しかったのだが、赤土の事件ですべてが壊れてしまう。大学寮が権力者たちの争いに巻き込まれ、ついには学生や大学寮出身者が戦いに身を投じるような事態になっても、皆で学問に励んだ思い出の日々はいつまでも彼らの胸にともし火のように残り続け、迷った時には道しるべのように行く先を照らすのだった。物語は骨太だけど、それぞれのキャラが立ってるところがちょっとライトノベルっぽくて(とくに広子や礒部王!)、堅苦しくないので読みやすい。見せ場もふんだんにあって、千年以上前の話であることを忘れるほど情景がリアルに浮かんでくる。……けど、カタカナ語を使った解説には正直「ああっ、分かりやすい!」と思ってしまった。この作者はこれからも追っていこう。