読了本

聖者が殺しにやってくる

聖者が殺しにやってくる

聖者が殺しにやってくる/後藤リウ
隠れキリシタンとしての信仰をいまだに保っている旧家で事件が起こる。題材が珍しく、個人的には学説とかをペダンチックなまでに盛り込んであるほうが面白いのだけど、このくらいのほうが読みやすいかもしれない。事件の流れは横溝ふうな典型的「田舎の事件」の定石を踏んでいて、そういうのが好きな人はとくに楽しめると思う。暦と花梨のコンビにはライトノベル的な華やかさがあった(暦のトロさは榊さんが補ってくれた)。話の筋は別として、希之子をついついキノコと読んでしまうため、どーも今ひとつ緊張感が……(^^;。

冬の生贄 上 (創元推理文庫)

冬の生贄 上 (創元推理文庫)

冬の生贄 下 (創元推理文庫)

冬の生贄 下 (創元推理文庫)

冬の生贄 上・下/モンス・カッレントフト著、久山葉子訳
スウェーデンのミステリ、女刑事モーリン・フォシュ・シリーズの第1作目。ほどよくマッチョでほどよくレディなモーリンが職場にスムーズに溶け込んでるのがいい。同僚や上司との関係が良好なら事件に集中できるからね。でもその分、私生活ではいろいろと悩みがあるのだけど。しかし外気温がマイナス30度とかいうところでもやっぱり事件は起こるんだなぁ。普通に生活するのだって大変なのに、聞き込み捜査じゃドアの外に立ってるのすらひと苦労、犯人を追うともなれば大雪をかき分けかき分けだもん。思わず目が点だ。

パン屋の手紙―往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで

パン屋の手紙―往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで

パン屋の手紙: 往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで/中村好文、神幸紀
自分の住まいやインテリアにここまでこだわるという、そういう世界もあるのだなあと目を瞠る思いだった。ムダははぶき、妥協はせず、かけた熱意と時間のぶんだけ希望通りの建物ができる。自分をありものに添わせていくのではなく、一から積み上げ造り上げていく。そういうていねいな暮らしから生まれたパンが、お客が並ぶほどおいしいとなれば素晴らしいことだ。120〜121頁が眼福だった。