読了本

名もなき花の―紅雲町珈琲屋こよみ

名もなき花の―紅雲町珈琲屋こよみ

名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ/吉永南央
珈琲豆と和食器を扱う店「小蔵屋」の女主人、草を主人公にしたシリーズの3作目。ちょっとビターな日常の謎もの、あるいは日本の風土でコージーやるとこうなるという良い見本。主人公が老女なんだけど、マープルものとはまた違った雰囲気。お草さんは何となく察して、それを心にしまっておくタイプ。幼さの代償を支払い続けるミナホ、若き日の傷を引きずり続ける萩尾、それを見守る人生の先輩たち。説教臭くないしみじみとした雰囲気が魅力的だ。バクサンの「ポンヌフアン」がまた出てくるといいな。こんないい店ばっかりある町(モデルは高崎?)がうらやましい。