読了本
- 作者: アンドレアス・グルーバー,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/02/22
- メディア: 文庫
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ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターと、ウィーンの弁護士エヴェリーン。二人が追う事件の謎がいつしか絡み合っていく、複雑な構成のミステリ。面白かった。しかも安定の酒寄訳。あまりドイツって感じがしないなーと思ってたんだけど(私のイメージするドイツは“鉄のクラウス”みたいなのがうようよいる世界だ)、これはオーストリアミステリであるらしく、どことなくしゃれた雰囲気がある。事件自体は酷いもんだけどね……。とある人物が死ぬのはすすんで見過ごしにするのに、殺害を行った人物のことは弁護する、それがいっこうに不自然でないバランス感覚がいかにも海外ものだなぁと思った。私もどちらかといえば共感的だが、日本では建前がじゃまして本音が成立しにくい気がする。共闘したヴァルターとエヴェリーンがあくまで“戦友”で、それぞれにロマンスが用意されてるのもよかった。