読了本

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1

烏に単は似合わない/阿部智里
人が烏と化す架空王朝の後宮を舞台にした幻想ミステリ。第19回松本清張賞受賞作、というのは後から知ったのだが、こういうのもアリなんだとちょっと驚きつつ、たいへん面白かったので清張賞もやるじゃんと(えらそう)。ヒロインとして描かれてるはずの子が何でかしらんが中身がすかすかでちっとも共感できないのに、最初はヤな女に見えたライバルたちがどんどん魅力的になってくので、あれーと首をかしげていたら。お花畑だと思っていたものが底なしの泥沼だったと分かったときの驚きたるやもう! でもその泥の中からこそ蓮の花は咲くんだよね。終盤の“彼”の一言はスカッとしたわ。しかし最初にこういうのでデビューすると、2作目以降のハードルがぐんと高くなる気がするなあ。ともあれ次作が楽しみだ。