読了本

ブロードアレイ・ミュージアム (文春文庫)

ブロードアレイ・ミュージアム (文春文庫)

ブロードアレイ・ミュージアム小路幸也
古きよきアメリカ、懐かしくも慕わしき昔のブロードウェイを舞台にした、スリリングでファンタジックなハートフルミステリ。ブロードウェイといっても表のきらびやかな世界じゃなくて、詐欺師やギャングが横行する裏社会のほう。けれど、ここに悪党はいても悪人はいない。〈BAM〉の面々は誰もかれもが脛に疵持つ身だが、人として守るべきものを全力で守り手助けすることに労を惜しまない心優しき人々なのだ。おとぎ話のような心なごむ雰囲気と、小粋でコミカルな感じが同居していてとても面白かった。森薫の絵で脳内コミカライズしてたので楽しさ倍増(嬉々として十歳エレベーターガールを描く姿が目に浮かぶようだ)。「ベーブ・ルースのボール」が特によかったな。フェイが留学してくる続編があるといいのに。