読了本

てのひらの父

てのひらの父

てのひらの父/大沼紀子
女性専用下宿「タマヨハウス」の管理人代理としてやってきたトモミさんは、家事全般を得意とする防犯効果抜群のコワモテ初老男性だった……。父親や家族に対して複雑な心情を抱えている3人の下宿人女性が、“大家といえば親も同然店子といえば子も同然”を地で行くトモミさんとの出会いによって変わっていく。コミカルな展開の合間にふと暗い虚無やひりひりする痛さが浮かんでくるのが印象的だった。結婚式のあと心が折れる柊子の姿には身につまされるものが。そしてトモミさんの渋さと包容力がまじヤバい。枯れてるのに色気があって。これはどんな頑なな店子も懐かざるをえないね。雲田はるこ的なイメージで脳内コミカライズしつつ読んでた。へぇ、この作者「まよパン」の人なのか。なるほどなるほど。