読了本・コミックス

昭和元禄落語心中(2) (KCx)

昭和元禄落語心中(2) (KCx)

昭和元禄落語心中 2/雲田はるこ
大ポカをやらかしたアホの子がどうにか師匠に勘弁してもらったところで新章開幕。作者的にはこの「八雲と助六」編をこそ描きたかったのかな。まぁこれが描かれないと与太郎も小夏も先に進めないのだろうが。たんに昔を懐かしんでいるのではなくて、何やら過去の告白、懺悔的な雰囲気がただよっているから、与太郎と一緒に拝聴しているこのシチュはなんだか夏目漱石の「こころ」みたいで、やけに神妙な気持ちになってしまう。与太郎の時代もレトロだが、師匠の若かりし頃ともなれば戦後の復興期、今とはまったく違う時代のにおいがする。時代もの的な楽しみも加わって読み応えは十分。

無二の王 坂の上の魔法使い2/明治カナ子
あれ、こっちも師匠の昔語り編。なんかこういう、師匠世代萌えというか、弟子にとっては偉大で揺るぎない存在が実は複雑な鬱屈を抱えていて、その秘密めいた陰翳が徐々にあらわになっていくのをゾクゾクしながら味わう……みたいな手法がBL界の定番としてあるのだろうか。当事者たちの生々しい感情を弟子のイノセントな視線が受け止めて、さらにその外から読者はなりゆきを見守るわけで。ワンクッションおかれてるからこういうのが苦手な私でも読めるのかも。ラベルがいなくて王とリー様のすったもんだを直接描かれたらたぶん引いてまう。