読了本

命もいらず名もいらず 上 幕末篇

命もいらず名もいらず 上 幕末篇

命もいらず名もいらず(上)幕末篇/山本兼一
山岡鉄舟といえば、清河八郎にダマされ浪士組を率いて上洛し(『新選組!』)、お蕾の看護婦修行を助け(『べんがら格子の家』)、「開運なんでも鑑定団」でよく書が登場する人……くらいの知識しかなかったのだけど、かなり腕の立つ剣豪だったんだねぇ。えらくまっすぐな人で、ものすごい貧乏。いつも観てる『ゲゲゲの女房』の貧乏描写も身につまされるけど、鉄舟(若い頃の名は鉄太郎)さんちはさらにその上を行くのだった。夫婦の会話はこんなだ。「お粥を炊こうと思うのですが、焚きつけにするものがありません」「では、畳を燃やしなさい。どれ、はいであげよう」……わぁ、優しい(だけど何か違う)。身重の妻にかける布団もないから着物を脱いでかけてあげる。そして自分は真冬に褌一丁で坐禅とか。偉人っていろいろと桁外れだよな。