読了本

イケズの構造 (新潮文庫)

イケズの構造 (新潮文庫)

イケズの構造/入江敦彦
『イケズ花咲く古典文学』という新刊が面白そうだったので既刊をちょっと味見。うわぁ、もう、京都人にはかなわんなぁ……と引いていたのが、いつのまにか共感とともに笑ってしまっていた。特に“京都人の口癖”、あれほんと? いらんこといいの日舞のお師匠さんなどは冷や汗ものの切れ味で、京都のイケズはたとえるなら抜けば玉散る氷の刃とはよくぞいったもの。私だったら切り刻まれて紙くず寸前になっちゃうよ!
「イケズ」を使いこなすのは到底むりだし、うまく受けこなせもしないけれど、何となく免疫はついたかも? イケズ的なものは京都に限らないが、最高級のイケズを知っていれば二流三流のイケズは軽くあしらえそうな気になれる、そんな本でもある。イケズの醍醐味はクロスカウンターでつっこんでこそ、みたいだしね。精進あるのみだ。
源氏物語のイケズ解釈は楽しかった。部分的にしかされてないので通しで読んでみたいものだ。いまお風呂で源氏物語を読んでて(フロンティアニセンで 源氏物語千年紀祝賀キャンペーン全14巻セットというのを買った。与謝野晶子訳。おもしろい)、「明石」のくだりまで来てるんだけど、かなりイメージ変わりそう。源氏ってほんとしょーもないやつ、とは思っていたけどイケズフィルターをかけたらそのしょうもなさも芸のうちとして楽しめるのだなあ。