読了本

追想五断章

追想五断章

職人技を思わせる、細部にまで神経のいきとどいた米澤さんらしい物語。面白かったけど、侘しくて寂しい。誰一人幸福になった人がいない……幸福な未来を想像できそうな人すらいない。が、初冬のうす曇の空の下で読むのにはふさわしい話だったかもしれない。出版されたのは真夏だけどね。季節が違うと印象も変わってくるのかな……。差し挟まれる断章がどれもなかなか読ませる。リドル・ストーリーだからこその余韻だろうか。
そういえば序盤のほうで図書館の禁帯出本を2部コピーする場面があったけれど、著作権法に基づいて1人1部しか複写が許可されないのが普通では? と思ったんだよな。横浜市立図書館のようにコピーに制限がないところもあるけど、他ではあまり聞いた事がないのでちょっと気になった。まあ話の本筋には関係ないですが……(多分)。