読了本

矢上教授の午後

矢上教授の午後

初めはてんでバラバラ、無関係に見えた各人の行動に裏があることが明らかになってくる中盤あたりからぐわーっと盛り上がってきた。何でも野性動物に結びつけて考える馳部教授の思考回路にはつい笑ってしまったよ。ミステリマニアでロマンスグレーの矢上も素敵だが、わしとかおぬしとかいつの時代の人だ(^^;? 二人が組んでワトソン&ホームズ化するところはよかったな、てっきり咲がワトソンなのかと思ってたらハドソン夫人の役割だったか。終盤も意外な展開をみせてくれて面白かったが、冒頭が誰の視点なのか明らかになる最終章は……うーん……違う書き方のほうがよかった気がする。擬人化するとうそっぽいのと、ミスリードをもう半回転したらひねってないことになってしまった、みたいな蛇足感が……。直前まで「あれはあの人の視点だったのか」と感心してたのに(それだと辻褄の合わない部分が最終章で説明されるんだと思ってた)。