読了本

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

あー……、やっぱり最後のシーンではボロ泣き。極限まで張りつめていったものが一気に解放されるラストが見事すぎる。
人と獣とでは思考回路が異なるのだとしても、しめすべき喜怒哀楽や親愛の情に違いはないのだから決して通じ合えないわけじゃない。ただ、人が社会で生きる限り、手に入れた牙や鉤爪を使って破滅に突き進まないでいるのが不思議なほど難しいだけで。あの後、状況は少しでも変わったのだろうか? 通じ合えなかった人と人とは少しでも歩み寄れたのだろうか?
文庫あとがきにはこの物語が「化けていく」過程が書かれていてちょっと身震いがした。そして! ハードカバーで読んだとき、私が渇望しながらどうしても想像することができなかったエリンとイアルの未来が、続編では描かれてるってゆーじゃありませんか! なんとまあ……。上橋さんはドSだと恨んだこともあったけど撤回します。あなたは慈愛の天使! さー続編にとりかかろう。

花散らしの雨 みをつくし料理帖

花散らしの雨 みをつくし料理帖

シリーズ2作目。前巻より降りかかる不幸の度合いは下がったかわりに何やら咲きほころびかける思いがちらちらと。これはもしやと見守るうちに決定打が……。み、澪ってば、老け専!?(違) てっきり亡父の面影を重ねてるだけかと思ってたんだけどねぇ。前作を読んだとき、澪はガラスの仮面のマヤみたい、ご寮さんは白い月影先生みたい、とぼんやり感じてたのだが、ますますガラかめ化が進んでるよ! 小松原と源斉がまんま真澄と桜小路だよ。この先どーなるんだろ。今と違って身分の差ってものがあるしなぁ。妻子持ちかも分からないし。
話はまだまだ続くようで嬉しい限り。天満一兆庵の若旦那の登場が待たれる(……生きてるよね?) 忍び瓜はさっそく試してみよう。命名「ありえねぇ」のくだりには笑ってしまった。そういえば恐妻家の戯作者・清右衛門てどうも『椿説弓張月』を書いたあの人っぽいな。小野寺さまも実在の人物だったりとかするのか?