読了本

ボックス!

ボックス!

大阪の高校ボクシング部を舞台にしたスポーツもの。面白かった! つかみが凄いね。一人の天才ボクサーの姿を、ひ弱な努力家と顧問の女教師の視点から描いていく。闘いの熱気と、対象からちょっと引いた客観的で冷静な雰囲気が同居してて、そこが普通のスポ根ものとは違う感じ。会話文などには大阪弁じゃないときは特に語学の教科書めいた固さがあったものの、そんなことは気にならないくらい展開が魅力的で引き込まれた。
エピローグ直前の章のタイトルにはビビったわ……何が起こるんだよー!とハラハラしながら読んでしまった。ボクシングにあまりいい印象持ってなかったけれど(部員の親とかと一緒)、ちょっと見方が変わった。描かれたのがアマチュアボクシングの世界というのもあるのかな。とてもストイックで爽やかな、それこそ一陣の風のような物語だった。『風の中のマリア』もよかったし、百田尚樹の他の作品も読まねば。