読了本

龍神の雨

龍神の雨

第一章までは妙に「フツーの小説」だったんだけど、その後はさすが道尾さんだけあって一筋縄じゃいかなかった。凝った小見出しといい、自分がすべての仕掛けをつかみきれてないようで心もとない感じがする。龍は結局なんだったんだろう? たんなるイメージ? 幻? それとも超自然の存在?
善意を向けていたもの、悪意を発散していたものがガラリと入れ替わる瞬間は怖かった。基本、相手のことはとりあえず信用するものだが、そこにつけこまれるとなぁ……。誰かの死を願い、それが間接的にでも叶えば人は重い十字架を背負うことになるのかもしれない、でもこのケースは……。不幸の中にわずかでも幸せがあるとすれば、それは家族の絆だ。断末魔に毒を注ぎ込んだハブのニュースはストーリーと重なるが、あの一言が真実とは限らないよなぁ。あああ、すっきりしなくてもどかしい。