読了本

恋文の技術

恋文の技術

とある大学生が出向先から書きまくった手紙文で構成される不思議な小説。修行と称して同時期に複数にあてて濫発してるため内容や表現がかぶったりしてるのだけど、送り先ごとの微妙な差異や温度差がおかしい。「O-81事件」と失敗書簡集は傑作だった。笑いすぎてむせて呼吸困難になるくらい。しかし終章には不覚にもほろりとさせられた。うまく書こうという色気のない素直な文章は心を打つよなぁ。それにしても彼の描写する伊吹さんのチャーミングなこと。「思う思う思う。でも、『やむを得ぬ』!」には惚れてまうやろー!