読了本

電脳コイル〈8〉 (トクマ・ノベルズEdge)

電脳コイル〈8〉 (トクマ・ノベルズEdge)

イサコ教騒動終結、と思ったらまだ後に引きずる? 飯嶋さんは結局なにがしたかったのか。宮村版コイルではどのキャラにも二面性があって、ヤサコにサドっ気があったりハラケンが黒かったり玉子がダメっ子だったりするんだけど、そこが逆に奇妙な味を醸しだしてはいたのだ。でもイサコの“弱さ”はちょっとバランスがとれてない感じ。ただそれも本家コイルと比べるからぶれてると思うのであって、まったく別の結末を用意しているならアリなんだろうと思う。京子のシメのひとことが超怖い。いつも思わせぶりに終るから続きが気になってしまう。前回のダダイストかんなとか、まだ展開に反映してきてないけどあれはどーなったんだろう。

1999年に出たものの新装版。百鬼夜行絵巻の謎 <ヴィジュアル版> (集英社新書)が出る前の本なので学説的には古くなってしまった部分もあるし、収録されてる4人の文章のテーマにいまひとつ統一感がなくて、どうにも読みごたえに欠けるのだけど、真珠庵本をはじめとする4つの絵巻が大きなサイズで見られるのはいい。前にも書いたが、絵柄を並べて変遷を見比べられると面白いと思うんだよなぁ。そういう意味では今度の展覧会の展示方法と図録に期待している。
鍋蓋の妖怪なんか、真珠庵本ではとてもそうは見えないんだよね。取っ手がないのはともかく色も灰色っぽくて、むしろ漬け物石っぽい。ただ鍋やお釜の妖怪が周囲にいるんで、後代の絵師が鍋蓋に描きなおしたんじゃないかなぁ? 蝸牛の妖怪も本によっては粘土のカタマリみたいになってるのがあるけど、どっちが先に描かれたものなんだろう。……そんなことをあれこれ考えていると、あっというまに1時間くらい経ってるほど楽しいです。