読了本

闇の公子 (ハヤカワ文庫FT)

闇の公子 (ハヤカワ文庫FT)

新装版。訳者が浅羽莢子だったのと、荻原規子の解説に惹かれて読み始める。タニス・リーを読むのも初めてかも。面白かった。妖艶にして凄絶。徹底的な美文調が作品の雰囲気によく合っていて、さすが浅羽さんだと思った。妖魔の王アズュラーンにとって人間は玩具、一時の娯楽でしかない。だが人間なくしてはその存在すら無意味になってしまう。最初は彼の理不尽さと哀れな人間のために腹を立てたが(特にゾラーヤスは可哀そうだった)、しまいには復活を待ち望むように。だってあの最期にはやっぱりほだされるよ。4部作だそうだので続きが楽しみ。