読了本

風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記

風の邦、星の渚―レーズスフェント興亡記

SFかと思ったら中世ヨーロッパを舞台にした歴史ものだった。と思ったらやっぱりSFだった。けど歴史もの好きな私は主にそちら方面でめいっぱい楽しんだ。『デルフィニア戦記』と『氷と炎の歌』シリーズの中間くらいな感じか。町に集まった人々の営みを見るのが楽しい「人ならぬもの」レーズと、異邦人をも受け入れる自由な町をつくりたい騎士ルドガー、それぞれの望みがからみあって形づくられたレーズスフェントはさまざまな苦難を乗り越えて生き物のように育っていく。その様子が丹念に描かれていてものすごく面白かった。ロマンス的にも楽しめたし。ルムとの再会は嬉しかったなー。興亡記とあるけど興までで亡は書かれていない。キャラクターたちに感情移入してたから心情的に滅びはみたくないけど、物語としてはそこまで見届けたかった。続きなんて出ないか……。

祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ)

祈祷師の娘 (福音館創作童話シリーズ)

id:ruyueさんとid:psycheNさんが褒めてたので前から読みたいと思っていた本。いわゆる霊能力を扱っていてもキワモノにはなってない良質の児童文学で、とても面白く読んだ。そういう力を持ってない主人公・春永(はるなが。女の子)の視点で描かれる世界がとてもやさしい。そして懐疑派・山中くんのような子がとてもいびつに見える。でもはるちゃんは彼を否定してはいないし、久美ちゃんのずるさも分かってて受け入れている。そんな懐の広さがおかあさんのいう「器」なんだろう。地味だけど多くの人に読まれて欲しい名作。挿画も味があっていい。

病気の魔女と薬の魔女

病気の魔女と薬の魔女

id:psycheNさんのおすすめ。ペストにコレラにインフルエンザ、さまざまな伝染病をつかさどる魔女たちの陰謀を阻止するため、薬とワクチンの魔女ローズが奮闘する学習ファンタジー。ちょっと『蟲師』を思い出した。人に悪さをする細菌やウイルスも本当はただあるようにあるだけ、みたいな……。アニメにしたら面白いんじゃないだろうか? 製薬会社とかがスポンサーになって。子どもには病気予防の勉強になるし、大きいお友だちにはローズが人気出そう。それにしてもアン先生のとろけるパンプキンケーキは美味しそうだなあ!