読了本

千両花嫁―とびきり屋見立帖 (とびきり屋見立て帖)

千両花嫁―とびきり屋見立帖 (とびきり屋見立て帖)

うおお、面白かった! 幕末の京都を舞台にした市井ものの連作短編というのはちょっと珍しい。主役はあくまでも道具屋とびきり屋を営む新婚の真之介とゆずだが、時代が時代なので新撰組坂本龍馬などが脇役として絡んでくる。歴史上の著名人をダシに使うぜいたくさ、そしてますますひきたつ真之介とゆずの個性。ふたりがあんまりラブラブで可愛いので楽しくなってしまう。京ことばの客あしらいから姑の嫁いびりまでリアルに描いてあるのは作者が京都生まれだからこそかも。道具の目利きに関するうんちくも興味深いが、毎回降って湧く難題を真之介とゆずがどうさばくか、そのへんの展開に作者がいっさい手を抜いてないところがすごい。初出をみると足掛け4年の連載がようやく一冊にまとまったようだ。インタビューによれば続編が書かれるみたいで嬉しい限り。

◆著者インタビュー 幕末を見立てる道具屋夫婦
http://www.bunshun.co.jp/jicho/hanayome/hanayome01.htm

駅神ふたたび

駅神ふたたび

『駅神』の続編。こちらも面白かった。易をよくする伝説の占い師ヨンバンセンは別に神がかった力を持っているわけじゃなく、ただ相談する人が気付いてないことを指摘するだけだ。分かってみればなーんだというような、でもそこがほぐれればすべて順調に流れるようなことほど悩みを抱えている人には見えてこないものらしい。「犬の相続」と「進退伺い」が面白かった。この手の揉め事が円満に解決するとなんか嬉しい。駅神みたび、があるといいな。